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22 2月 2016, BIOWORLD TODAY

ストラテジア製薬:富士フイルムのがん製剤の第1相臨床試験を開始

記者:Michael Fitzhugh

Captureボストンに本社を置くストラテジア製薬は、進行性固形がんとリンパ腫の患者さんを対象とした代謝拮抗薬「FF-10502」の第 1 相臨床試験を米国にて開始しました。FF-10502は、FUJIFILM Pharmaceuticals U.S.A., Inc. がDNA合成阻害薬として開発をしたもので、前臨床試験において、ゲムシタビン治療(GC治療)耐性の腫瘍に対しての活性が確認されています。

ストラテジア製薬は、テキサス大学 MD アンダーソンがんセンターのパートナーであり、2番目の協働プロジェクトとしてこの研究開発に取り組んでいます。また、デンバーのサラ・キャノン研究所とも協働しています。

旧称ボストン・ストラテジクス社は、受託研究機関として、富士フイルムがスポンサーをしているFF-10502 の臨床試験を行っています。さらに、ストラテジア製薬は、ライセンスインした新薬開発も行っています。例えば、エーザイが悪性黒色腫の治療のために開発したFLT3/MEK の二重キナーゼ阻害剤の開発を中止しようと検討していた際、ストラテジア製薬は、様々な腫瘍に対する開発と製品化の交渉を行い、開発への道を開きました。

「私にとり、ストラテジア製薬が、CROかバイオファーマであるか、というような従来ビジネスモデルのカテゴリー分けは重要ではなく、パラダイムシフトこそがとても重要であると思っています。」と、創立者/社長/CEOである古屋圭三氏はバイオ・ワールド・トゥデー紙に語りました。

長年に渡り医薬研究開発に従事してきた古屋氏は、2012年にストラテジア製薬を設立し、医薬研究開発業界が抱える生産性の低下とインフラのために起こる非効率性などの問題を解決するために、効率的かつ低コストの新しいアプローチを進めています。古屋氏は、大手の製薬会社が抱える問題を、映画業界と比較しています。以前、映画業界では、五つの大手映画会社だけにすべてのインフラと才能のある人々が集中していました。それよりもさらに良いアプローチは、各プロジェクトごとに、そのニーズに合った最高の人々を集めることであると古屋氏は信じています。

現在、ストラテジア製薬は、各々の新治療薬開発プロジェクト専用に最適なグローバル少数精鋭チームを結成して、新しい創薬協働モデルを創成しています。内部のインフラサイズを抑え、効率化しながらそれぞれのプロジェクトをなるべく早く成功へと導くことを目指しています、と古屋氏は語ります。

「お金は力となり得ます。」古屋氏は、彼の理想への道を切り開くために、ストラテジア製薬への投資をまだ受けていません。 「患者さんと未来の社会のために、新しい新薬開発のプラットフォームを築きたいと心から思っています。」と、古屋氏は語ります。その目的のためも、富士フイルムなどの古屋氏が以前勤めていた会社とも協働したいと思っています。それらの会社は、可能性がある薬剤を持っており、新薬研究開発の分野ではまだ新しく、開発の妨げとなる大きなインフラを作っていないためです。

ストラテジア製薬は、設立以来のこの3年の間に、MDアンダーソン、富士フイルム、エーザイなどの、会社、専門家、機関と協働して、7種の新薬候補のために7つのプロジェクトを作りあげ、鋭意開発を進めています。1月15日には、富士フィルム社の放射免疫療法治療薬「FF-21101」の進行性がんの患者さんを対象とする第1相臨床試験を開始しました。また、再発・難治性高リスク骨髄異形成症候群(MDS)と難治性急性骨髄性白血病(AML)を対象としたFF-10501の開発にも取り組んでいます。また、ストラテジア製薬は、いくつかのまだ公開されていない第2相臨床試験プログラムを成功裏に進めており、後期第2相臨床試験を計画しています。

同社は、10人ほどの社員のチームで柔軟に対応し続けることができる、と古屋氏は語ります。「10人で10の新薬開発ができるという事実を知れば、若い世代の人たちは、『圭三ができるのなら、僕たちは将来にもっと凄いことができる!』と思ってくれるでしょう。私たちには、巨大な製薬インフラは必要なく、小さなチームでもより良い薬を作ることができると思っています。」
(翻訳:ストラテジア製薬)